岡山大学循環器内科 岡山大学循環器内科
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中島充貴先生の「シャントを伴う単純性先天性心疾患における経静脈リードの塞栓症リスクに関する論文」がHeart Rhythm O2に掲載されました。

2025.04.28

論文名:Incidence of systemic thromboembolism after transvenous lead implantation in patients with simple intracardiac shunts

雑誌:Heart Rhythm O2. 2024 Dec 25; 6(3):390-392. doi: 10.1016/j.jjcc.2025.03.014.

概要:主に複雑性の先天性心疾患を対象に経静脈リードを植え込んだ症例で体塞栓が多いという報告を根拠に、現行ガイドラインでは心内シャントがある症例は全て経静脈リード留置がクラスIIIとなっております。単純性の小さい心内シャントまで一律に経静脈リードを避けるべきなのかは不明でした。心内シャントを伴う単純性先天性心疾患で経静脈リードを植え込まれた症例の中で、シャント未修修復or残存群 v.s. 完全閉鎖群で体塞栓発症率に有意差なく、脳梗塞を発症した症例はいずれも慢性心房細動でありリード血栓に起因する奇異性塞栓を疑う症例はいませんでした。以上から、単純性先天性心疾患においては心内シャントがあっても経静脈リードは必ずしも塞栓症を増加させないのではないかと推定されました。クラスIIIに反論するような内容であるので症例数が非常に少なく限定的な解析でしたが、ガイドラインに一石を投じる形になればと思っております。