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各種疾患・治療法

睡眠時無呼吸

1.睡眠時無呼吸症候群(SAS;sleep apnea syndrome)とは?
睡眠時無呼吸症候群(SAS;sleep apnea syndrome)

睡眠時無呼吸症候群(SAS:Sleep Apnea Syndrome)は、気道の閉塞などの原因で、睡眠中に何回も呼吸が止まり、睡眠中の血中酸素飽和度(SpO2)が低下する病気です。そのため、いびき、日中の傾眠、熟睡感の欠如など睡眠に関する症状に加え、高血圧や脳血管障害、心機能の低下を合併することが知られています。

このような症状はありませんか?

本疾患が社会的に良く知られるようになったのは2003年に山陽新幹線が到着駅を通り過ぎて緊急停止する事故が起きたことがきっかけでした。本疾患の有病率は予想以上に高く、1993年Youngらは疫学調査で30歳から60歳の中年男性の24%、女性の9%が睡眠時無呼吸を有していると報告しました。



2.睡眠時無呼吸の種類と重症度
睡眠時無呼吸症候群の種類

左記に加え気道が完全に閉じるのではなく、狭小化のために換気量が少なくなった状態(換気の50%以上の低下に、酸素飽和度(SpO2)の3%以上の低下を伴うもの)を低呼吸と分類します。

患者様の多くは閉塞性無呼吸を呈しますが、うっ血性心不全、脳血管障害、末期腎不全(透析)、神経筋疾患の患者様には中枢性無呼吸を多く認めます。

重症度は一時間あたりの無呼吸(Apnea)と低呼吸(Hypopnea)を合わせた回数(AHI; Apnea-Hypopnea-Index)で分類されます。AHIが5以上で睡眠時無呼吸と診断され、5~20を軽症、20~40を中等症、40以上を重症と分類します。


3.合併症は?
合併症

無呼吸から左記のような病態が惹き起こされ、高血圧、心臓病、脳卒中、糖尿病といった疾患が合併することが知られています。

特に高血圧の合併は多く、睡眠時無呼吸は二次性高血圧の原因疾患として重要です。


4.検査は?

検査は下記のような流れで行います。

在宅スクリーニング検査(自宅で装着します。)
在宅スクリーニング検査

左のパルスオキシメーターを用いて夜間の血中酸素飽和度(SpO2)を測定します。酸素飽和度低下指数(ODI;SpO2低下回数/時間) はポリソムノグラフィー検査によって得られる無呼吸低呼吸指数(AHI)の結果と高い相関を示し、スクリーニングとして有効と考えられています。

ポリソムノグラフィー検査(一泊二日の検査入院が必要です。)

ポリソムノグラフィーは睡眠時無呼吸の確定診断に必須の検査です。これにより無呼吸低呼吸指数(AHI)を測定し、睡眠時無呼吸の有無、重症度を判定します。

脳波、筋電図、眼球の動き等を測定することにより睡眠段階、覚醒反応の有無などの睡眠の状態を調べ、エアフローセンサー、腹部胸部センサーなどで無呼吸の程度、中枢型か閉塞型かの判別を行います。

簡易検査

上述のポリソムノグラフィー検査から脳波や筋電図を略した簡易検査も行うことがあります。


5.治療は?

軽症の場合、減量、禁煙、禁酒、睡眠薬服用の減量など生活習慣の改善が第一の治療法となります。

中等症から重症の場合、中等~重症睡眠時無呼吸症候群には、CPAP療法(経鼻持続陽圧換気療法)が治療の第一選択となります。

CPAP療法により日中傾眠やいびきなど睡眠に関する症状だけでなく、二次的な高血圧や心機能低下が改善することが報告されています。また5年間の長期予後の改善も報告されています。

実際のCPAP療法の機器

その他、扁桃肥大など咽頭部の閉塞による場合、外科的治療(口蓋垂口蓋咽頭形成術など)が適応となる場合があります。


気になる方へ

まずは何曜日でも結構ですので外来受診をして下さい。


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